My dolly chronicle 1


アンティークドールという物に、いつからか現を抜かし、最早アンティークドールの無い生活なんて考えられない♪とまで言い切ってしまえる程の今日ののめり込み様ですが、昔からアンティークドールが好きだったという訳ではないです。 

むしろ、最初にジュモウの人形(多分本物と思いますが)を見た時は、あの濃い眉毛、爛々とぎらつく瞳、そして、今にも食いつかんばかりに剥き出されたリアルな歯、いずれも幼いばるたんをびびらせるには充分でした。
そう、恐怖の対象以外の何物でもありませんでしたね。


そんなばるたんの人形観に変化が訪れたのは、忘れもしない、えーといつだっけ(とお約束ボケ)・・・えー・・・・・・(やばい、これはマジボケだわ)・・・あそうそう、昭和58年に、読売新聞社から発行された、「西洋人形」というムック本を手にした時からです。
当時、所謂同人オタであったばるたんは、ちょっくら話のネタ探しのたしにでも、ってな、あくまでも軽い気持ちで、それを購入したのでした。 それが転落への第一歩になるとは、その時は勿論知る由もなく・・・・・

その本一冊で、アンティークドール連中に、いともたやすくハァトをノックアウトされたばるたんは、ちょうど当時、続々と出版されていたアンティークドール関係のムック本を買い捲り、イベントが有ると聞けば東奔西走し、そして出会った運命の少女。

彼女こそまさしくファムファタール、イッツマイデステニーラヴ(なまってるし。)
本では、何度か見ていた。稀なるドールで、その美しさも充分知識としては知ってた。

しかし、実際に目の前にたたずむ彼女は・・・何と言ったらいいのか、綺麗だの可愛いだの、そんな言葉だけでは言い尽くせない、例えていうならば・・・・・・
?(ハァト)

いついかなるときも、冷静さを失うのはお手の物のばるたんだが、この時は明らかに尋常ではなかった。ガラスケースの向こうで微笑む彼女をただじっと食い入るように見つめ、虚ろな目で、

「このガラスさえ無ければ・・・・・・!!!!!!」

と、拳を握り締め、心のなかでつぶやいた。

煩悩オーラを炸裂させるばるたんの目の前の美少女はそんなばるたんの劣情を物ともせず、ただ端然と微笑んでいて、それが尚の事、近寄りがたさを増幅させた。

その時手近に鈍器の類が無かったのはギャラリーにとっても人形にとっても、そしてばるたんにとっても幸いだったに違いない。
でなければ一生、犯罪者の汚名を背負って生きることを余儀なくされたであろうことは想像に難くない。

確か当時、銀座のどこかのギャラリーで開催されていたイベントでの、ほんのささやかな一幕でした。


件の人形は、およそ70cm以上はあるであろう、大きなATでした。
一介のド貧民に買えるはずもなかろう、名品中の名品、まさに高値の華(字違うし)。でも欲しい。欲しいったら欲しいんでい。昔から煩悩の赴くままに生きることを良しとし、そしてその通りに生きてきた、このおいらさ。なんとか、いつかあの子をこの腕に!とばかりに意気込んではみたものの、彼女は大コレクター様のもの、本人(?)ゲットなぞ当然望むべくもない。

そんなばるたんの懊悩に応えるかのように、或る日、新聞に掲載されていた広告がありました。

「日本アンティックギャラリー」

そう、アンティークドールのレプリカのご案内でした。そしてその時の看板娘が、まさにATだったのでした。
ブロンドの髪に深いブルーのペーパーウェイトグラスアイ、ピンクの、ゴージャスなレースがあしらわれたドレスの上にはグリーンのベルベットのコート、そして揃いのボンネット。

「レプ・・・その手があったか・・・!」

一筋の光明が見えたかと思われた次の瞬間、飛び込んできた残酷な数字。


 ¥168、000- 


・・・・・・・高いやん。レプなのにい〜(号泣)



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